アニサキス

アニサキスとは

魚やイカなどにいる寄生虫です。内臓表面に寄生していることが多いのですが、筋肉に寄生していることもあります。特にサケの場合、腹部の筋肉によく見られます。体長2㎝程度で、肉眼でも糸クズのような姿が確認できます。サバ・サンマ・イワシ・アジなどの青魚、タイ・ヒラメなどの白身魚、サケ(サーモン)、イカなど幅広い魚介類に寄生します。
アニサキスに寄生された魚やイカを刺身や加熱が十分ではない状態で食べると、アニサキスが生きたまま人間の胃の中に入ってきます。アニサキスが胃壁などに入り込むと、激しい腹痛などの症状を起こします。人間はアニサキスの宿主にはなれないため、アニサキスは数日から1週間程度で死滅します。
胃に症状を起こす胃アニサキス症、小腸で症状を起こす腸アニサキス症があり、ほかに消化管外に出て肉芽腫を作るものやアニサキスアレルギーがあります。

症状

胃アニサキス症

アニサキスが身体の一部を胃壁に差し込んで発症します。一般的によく知られたアニサキス症です。突然、激しい胃の痛みが起こります。痛みが治まってはぶり返し、吐き気や嘔吐をともなうこともあります。寄生された魚介類を食べてから8時間ほど経過してから症状が起こることがあります。痛みはアレルギーによって起こっているとされています。アニサキスが生存できるのは1週間程度で、いずれ症状は治まりますが、内視鏡によって簡単に除去できます。

腸アニサキス症

アニサキスが小腸壁に入って発症します。寄生された魚介類を食べてから十時間~数日後に突然、激しい下腹部の痛みが起こります。小腸は通常の内視鏡では検査できないため、問診や血液検査、CT検査の結果をもとに診断します。嘔吐や発熱、頻脈などを起こすことがあり、まれですが腸閉塞や腸壁に穿孔を起こすことがあります。

消化管外アニサキス症

消化管壁に入り込んだアニサキスが、腹腔内に出て肉芽腫を形成します。まれにしか起こりません。

アニサキスアレルギー

アニサキスにアレルギーがある方に起こります。生きたアニサキスを口にした場合だけでなく、十分な加熱や冷凍により死んだアニサキスを食べても発症したり、アニサキスを完全に除去したものを食べても発症することがあります。アニサキスアレルギーではジンマシンを起こすことが多いのですが、アナフィラキシーによって呼吸困難になることもあります。寄生の可能性がある魚介類を口にしないよう注意してください。サバなどを食べてジンマシンが出る場合はアニサキスアレルギーの可能性があるので、抗体を調べる血液検査を受けて確かめておきましょう。

治療

胃アニサキス症

胃カメラの内視鏡でアニサキスは簡単に除去できます。ほとんどは除去すると速やかに痛みが改善に向かいます。ただし、抗体の過敏反応があると数時間痛みが続くこともあります。その場合には、鎮痛剤、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン剤、ステロイドなどから適切な処方を行います。

腸アニサキス症

内視鏡による除去ができないため、基本的に痛み止めや吐き気止めなどの対症療法を行います。絶食や点滴を行いますが、腸閉塞や腸壁の穿孔が疑われる場合には外科手術が必要になります。ただし、腸閉塞などが起こるのはとてもまれです。

予防

加熱や冷凍により、アニサキスは死滅します。中心までしっかり火を通す、あるいは冷凍することが必要です。冷凍はマイナス20度以下を24時間以上保ったものであれば安心です。また、肉眼でも発見できるサイズですから、プロが丁寧に処理したものであればリスクはかなり下がります。
ただし、アニサキスアレルギーがあると、加熱や冷凍でアニサキスが死んでいる場合や、完全に除去している場合でも症状を起こす可能性があります。アナフィラキシーという重篤な症状につながることもあるため、寄生している可能性がある魚介類は食べないようにしてください。

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